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発酵ウコンの生理活性に関する学術的背景

発酵ウコンの病理効果)

(1)
がん発生と増殖の抑制効果
がんの発生には酸化ストレスが大きく関わっています。
酸化ストレスとは、生体内の活性酸素種の生成系とSODなどの抗酸化物質系のバランスが
老齢化など様々な要因で破綻をきたして生成系が優位になり、
生体が酸化的障害を受けることとされています。
発酵ウコンの主成分であるクルクミンは、強力な還元力を持つフェノール基を持っており、
このクルクミンが生体内で代謝されるとテトラヒドロクルクミンという立体構造になり
更に大きな還元力を発揮することが分っています。
それはテトラヒドロクルクミンは細胞表面への接着性を強め細胞内の受容体(現在特定されていない)に
結合することによってその生理活性を高めると考えられます[注1]
クルクミンはこの強力な還元力によって活性酸素によって起るDNA損傷を基本原因とする
がんの発生から増殖・悪性化などを統合的に抑制します。
そしてクルクミンのこの抗腫瘍効果の分子メカニズムは多くの研究から明らかになりつつあります。
以下要点を略述します。
活性酸素によるDNAの損傷と突然変異の蓄積などがん発生の原因が生じても、生体にはリンパ球、
がん抑制転写因子P53、DNA修復のNADとADPリボース合成酵素等の修復・廃除の機構が備わっているので
それが直ちにがん細胞の発生にはつながりません。
しかし酸化ストレスなどで細胞内PHが低下すると、P53やNADの活性が低下し
修復・廃除の機能が劣化します。
その結果、異常細胞が残存してしまいます。
しかし生体には最後に異常細胞をアポトーシス(自死)させる機構としてカスパーゼという
タンパク質が発現します。
このカスパーゼ活性が正常であれば、異常細胞(がん)は全てアポトーシスさせられ、
がん細胞は発生に至りません。
しかし体内に過剰な活性酸素があると、カスパーゼの活性基(SHという還元基)が酸化され、
その活性が低下するとアポトーシス機構が発揮されずがん細胞の発生を許してしまいます。
発酵ウコンはテトラヒドロクルクミンの強力な還元力で過剰な活性酸素の発生を抑え、
さらにカスパーゼの還元基を増強することで、異常細胞を排除し、がん細胞の発生を防止します。
それと同時に細胞内PHの低下を抑制しP53やNADとADPリボース合成酵素の活性を守り、
異常細胞の修復・廃除機構の恒常性を担保する[注2]。
がん細胞の増殖は、正常細胞と異なり、無限に増殖する特徴とその機能を有しています。
その主たる機能は、周辺の正常な細胞組織のタンパク質を分解して
増殖を促進するタンパク質分解酵素のプロテアーゼを産生する機構を持っていることであります。
このプロテアーゼには周辺細胞組織の性質に応じて対応する種々のプロテアーゼファミリーがあり、
正常な細胞組織を次々分解しがん細胞に同化させ増殖を続けます。
そしてがんが大きくなりプロテアーゼファミリーの産生量が幾何級数的に進むと
増殖を止める手段がなくなり生体は死を迎えます。
発酵ウコンの主成分であるクルクミンは、細胞組織を破壊していくプロテアーゼの活性を阻害し
がんの増殖を抑えます。
その作用機序はがん増殖を促進するプロテアーゼの反応基(H+、ZN2+など)を
クルクミンのフェノール基が還元することによるものと考えられます。
このように発酵ウコンは、異常細胞の発生からがんの細胞の増殖に至るまで全てのプロセスに於いて
抑制効果を発揮します。
[注1]
同じフェノール基を持つ茶カテキンのなかで特に強い活性を示すEGCG(epigallocatechin-3-gallate)
だけが細胞膜に結合し細胞膜受容体67LRを介してその生理活性を細胞内へ伝達すつことが
明らかにされました。
テトラヒドロクルクミンもその分子構造から同様の形態をとっているのではないかと考えられます。
テトラヒドロクルクミンの受容体を同定することが今後の課題です。
[注2]
クルクミンのアポトーシス誘導効果には、カスパーゼの活性化の他に、TNF(腫瘍壊死因子)の活性化、
アポトーシスを抑制するbel2遺伝子の発現抑制、G2/M期での細胞周期停止などがあります。